組織名
伊勢崎市
業界
官公庁・団体業(市役所)
担当部署
市長戦略部戦略推進課
担当者様
栗原秀和様、太田要様
取材に応じていただいた伊勢崎市 市長戦略部戦略推進課の栗原様と太田様
▲左から栗原様、太田様

課題

  • 暑さにより、これまで当たり前にできていた市民生活(一例として、子どものプール利用、登下校、スポーツ活動、農作業など)が困難になっている。
  • 行政単独の施策では対応範囲が限られるため、官民連携施策も含めた「暑さに強いまち」への転換を目指したい。

解決策

  • 「Cool downいせさき」官民共創プロジェクトを立ち上げ、官民連携の一環として暑熱対策サービス「GoANZEN(ゴアンゼン)」を導入。

効果

  • 当初は1地点ごとのWBGTの確認が必要だったが、センターWBGTを定点設置・一覧表示することで、一目で状況が把握できるようになった
  • 暑い日には市内全域で数値が高くなる傾向など、市内の暑さ状況をデータとして可視化できるようになった
  • CSVデータ出力機能により、地点別・時間別の気温データを抽出・グラフ化できるようになったことで、データベース化の道筋が見えた。これにより、「最も暑い時間帯」「意外と涼しい時間帯」といった時間的な傾向を把握し、市民への周知やイベント開催時間の検討材料とするなど、今後に活かせる可能性を感じている
  • 客観的なデータに基づく指標が示されることで、公立の小中学校をはじめとする公共施設の管理責任者の負担軽減や、利用者の安全向上に繋がる事業展開の可能性が感じられた

まず、「Cool downいせさき」というプロジェクトが立ち上がった経緯についてお聞かせください。

太田様(以下敬称略): この取り組みが始まったのは、2025年8月5日に伊勢崎市が国内歴代最高気温を記録し、「日本一暑いまち」として全国的に知られるようになったことが大きなきっかけでした。市としては、単に「日本一暑いまち」というネガティブなイメージで終わらせるのではなく、「日本一暑いまち」から「日本一暑さに強いまち」への転換を考えていくことになりました。

ただ、行政だけでできることの範囲はどうしても限定的になってしまいます。そこで、民間企業や団体、市民の皆さんの意見やノウハウを取り入れながら、官民連携で事業を推進することで、日本一暑さに強いまちを目指すために「Cool downいせさき」というプロジェクトが生まれました。

実際に市内の暑さ対策を進める中で、どのような課題が見えてきたのでしょうか。

太田: 伊勢崎市ならではの特殊な悩みというよりは、全国の都市が同じ問題を抱えているものかと思いますが、「今まで当たり前にできていたことが、暑さによってできなくなる」というのが市民の皆さんの困りごとだと感じています。例えば、子どもたちの学校のプール利用や登下校、スポーツ活動、農作業などに関して、暑さが原因でこれまで通りに活動できなくなっているという実情があり、伊勢崎市としては真摯にそういった声を吸い上げて対策に取り組んでいきたいと考えています。暑さ対策は医療や教育、産業、文化活動など、市政の様々な領域に関わってきますので、それぞれの困りごと全体にどう向き合っていくかが、我々の課題です。

特に学校現場などでは、暑さ管理についてどのような苦労があるのでしょうか?

栗原様(以下敬称略): 現状、学校では先生方が移動式のWBGT測定器を使って、体育館、保健室、校庭、プールなど各地点を個別に手動で測って、プールに入れるか否かなど活動に関する判断しています。もちろん、予算面での制約等もあり実現が難しい部分もありますが、例えば、各地点にGoANZENのWBGTセンサーを固定で設置して、全ての場所の暑さ指数を一元管理ができるようになれば、先生方の負担削減につなげることができるのではないかと考えています。

伊勢崎駅南口のポールに設置されたGoANZENセンサーWBGT
▲伊勢崎駅南口に設置されたGoANZENセンサーWBGT
ラブリバーうぬきハマサカパーク内のポールに設置されたGoANZENセンサーWBGT
▲ラブリバーうぬきハマサカパーク内に設置されたGoANZENセンサーWBGT

太田: 暑さ指数を一元管理できるようになれば、安全に対する判断を個人の感覚に頼ることなく客観的な指標で判断できるようになる、というのは大きな利点だと思います。例えば、屋外活動をする際のWBGTの基準を定めておけば、それに沿って判断ができますし、保護者の方に対しても、数値的な指標があれば納得感も得られやすいのではと思います。

「GoANZEN」を市内の各地点に導入されてみて、良かった点はありますか?

太田: 導入前から市内各所に設置されているデジタル温度計や、群馬県が設置したWBGT測定器の数値を参考にしていましたが、多地点での詳細なWBGT観測は行っていませんでした。

GoANZENは一覧表のような形で各地点のWBGTをチェックできるので、すごく使いやすいなと感じています。市内でも場所によって暑さに違いがあることが視覚的にわかって、暑さ指数の危険度が一目でわかるようになりました。

伊勢崎市暑さ指数マップの一覧表示。市内10地点の暑さ指数と警戒レベルが一覧で並ぶ
伊勢崎市暑さ指数マップの地図表示。市内各地点の暑さ指数が地図上に表示されている
▲伊勢崎市暑さ指数マップ
フェンスに設置されたGoANZENセンサーWBGTと、暑さ指数マップにアクセスできるQRコード付きステッカー
▲伊勢崎市暑さ指数マップにアクセスできる、QRコード付きステッカーを市内に貼付

最後に、今後の取り組みの展望についてお聞かせください。

栗原: 今後は、GoANZENで得た暑さに関するデータを活用して、市民の方にどのように自らの暑さ対策に取り組んでいただくか、というところが重要になってくると思います。まだまだ構想段階ですので実際には難しいかもしれませんが、抽出可能な地点別・時間別のデータをデータベース化し、気象や風、降雨などの条件と組み合わせて高度に分析することで、「農作業の推奨時間」や「お出かけしやすいタイミング」など、市民向けの具体的な対策を生み出せるのではないかと期待しています。

インタビューに答える伊勢崎市の栗原様
▲栗原様

太田: 「暑いまちだからこそ、伊勢崎市はしっかり暑さ対策をしている」という認識が市民に広がり、「日本一暑さに強いまち」を目指すことで、市民の皆さんが自分のまちに誇りを持てるような、また、市民の皆さん自らが暑さ対策に向き合えるような形になっていけばいいなと思います。行政が暑さ対策に向き合っている姿勢を示さないと、市民の皆さんも同じ方向を向いて暑さ対策に取り組んでくれないかと思いますので、市としてできる限りの取り組みをしつつ、GoANZENなど民間企業の皆さんの協力も得ながら、さらに暑さ対策への啓発も行っていきたいです。

組織名
伊勢崎市
業界
官公庁・団体業(市役所)
担当部署
市長戦略部戦略推進課
担当者様
栗原秀和様、太田要様

※本事例の内容はインタビュー当時の情報を基に作成したものです。内容や状況は公開当時より変更されている場合がありますので、予めご了承ください。